ラシーンの持病:ヘッドカバーガスケットの交換

 

購入時からずーっと気になっていた、エンジンヘッドカバーの左側からのオイル漏れを修理します。

やり方はかなり簡単で、エンジンブロックとヘッドカバーの間に挟まっている、ゴムのパッキンを交換するだけです。

 

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コレがそのゴム部品、ゴムパッキンになります。

純正部版が13270-0M301。1000円位のゴム部品です。

自分でもやれるであろうと踏んで、トライしてみることにします。

 

 

 

現状確認

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まずボンネットを開いて、エンジンルームを確認します。

 

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ここが漏れている箇所ですね。液体ガスケットのようなものが受け皿になっています。

にじむというより雫になっているので、あまりよろしくない状態。

しかもこの下にはファンベルト類が常に回っているので、ベルトを汚して脱落させる可能性も秘めている、とても恐ろしい故障です。

 

漏れる理由

そもそもなぜここが漏れるのか? 他の部分のゴム厚みが薄いにもかかわらず、この部分のみが半円状に繰り抜かれてるんですよね。

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おそらく加工と組立時の融通を考えて、カムシャフトを通しやすいように繰り抜いているのだと思います。ただ上下で挟み込んだら、一部だけゴムが厚いとその部分は力が逃げてしまい、漏れやすくなるのは感覚的にわかったはず。

日産の設計陣は、そのくらいまぁいいだろうって感じで通してしまったんでしょうか?定期的に交換するようにすればいいよね、みたいな。

結果として、GA15系エンジンの持病としてリストアップされてしまったようです。
まぁ発見しやすい部位でもあるし、そんな重篤な被害を発生させるわけでもないしで、大したことはないんですけどね。。。

 

 

作業前の準備

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作業に入ります。

 

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まずプラグキャップを外します。こんなかんじで脇においておきましょう。

 

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次にヘッドカバーにはゴムホースが2本つながっています。

これをはずさないことには、カバーが外れません。

 

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バンドで止まっているので、ラジオペンチやプライヤー等で外して引きぬきます。

幸いなことに、ゴムの弾力はまだ維持されていて、簡単に引きぬくことが出来ました。抜けないからといって、5-56などを使用するのはご法度。ゴムが膨潤してあっという間に劣化する可能性があります。

抜けない場合は、シリコンスプレーを少量吹きかけてあげましょう。かなり抜けやすくなるはずです。ゴムも痛めません。

 

 

 

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その後、このヘッドカバーを留めているネジ10本を抜きます。

 

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ここの締付けトルクは0.9N・m程度で、かなり緩いです。#3のドライバーを使えば、さほど力を込めなくても外れます。

外した時の感覚を覚えておきましょう。さほど強く締め込まなくてもOKです。

再組立時に、おもいっきり締め付けるとヘッドカバーが歪んだり、エンジンにダメージが発生してしまうので注意。

 

ここまでやれば、準備完了です。

 

 

ガスケットの引き剥がし

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ホースを外したところが丁度良い出っ張りになっているので、真上に引き上げます。

 

バリッ!

 

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拍子抜けするほど簡単に外れました。

DOHCのサイドカムチェーン駆動のヘッドがお目見えです。

 

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ピントがあっていないので非常に見づらいかと思いますが、ゴムガスケットもとてもあっさり外れました。剥離剤など不要。

というのも、奮発して2000円位するワコーズのガスケット剥離剤買ってしまったんです。使わないじゃないの。。

 

 

嬉しかったこと

反面嬉しかったこともありました。

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ヘッドカバーの裏面です。超綺麗でした。

適切なタイミングでのオイル交換ができていないと、ここにワニス(古くなったオイルが乳化してゼリー状に変質してしまったもの。超臭い)がへばりついていたりするんですが、嬉しい事に皆無でした。

自分のオイル管理はまずまずのようです。

 

 

液体ガスケットを取り除く

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液体ガスケットは、漏れている箇所のみに使用されていました。

工場出荷状態ではおそらく塗っていないと思うので、一回確実に交換されているようです。

 

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コロコロと指で触ったら外れました。これエンジンの中に入ったら結構問題です。

エンジン内部に入ってしまいそうな部分を中心に、出来る限りこそぎ落とします。

 

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念のためスクレイパーを購入していたので、ゆっくり剥がしていきます。

丁寧に丁寧に。ベース母材に傷を付けないように。刃物が貼りにくい部分が結構あったものの、オイル漏れに対して特に影響がなさそうな部分はそのままにしています。

 

 

新しいゴムガスケットを準備

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こちらが新旧のゴムガスケットです。奥が古い方。手前が新しいもの。

古いほうが、角が潰れて平べったくなっているのがわかるかと思います。長年潰されていたのと、エンジンの熱で圧縮永久歪を起こしてしまっているのです。
ゴムの反発力が抜けて、そこからオイルが漏れやすくなっています。新しい方は角が丸く、厚みがあります。

 

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これを元のカバーに装着します。割と柔らかいので、結構うねります。
右に左にと自由自在に変形してしまい、おさまりが悪いので注意。

焦らず丁寧に溝にはめ込みましょう。

 

 

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溝は事前にパーツクリーナーで脱脂洗浄しておくとベターです。

 

カバーをヘッドに組み付け

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ヘッドに装着。ちゃんと収まっているか、浮き上がりがないか、パッキンの噛み込みがないか、などなど注意をしてしっかり装着します。

2~3回程度はかはめたり外したりして、しっかり規定の位置に着座していることを確認しましょう。

・・・・今回は液体ガスケットは塗りませんでした。
ガスケットを塗らないと話にならないようなレベルだったら、一旦外してゴムを洗浄し、再度作業を実施します。
まぁそんなに骨の折れる作業ではないので。。

 

 

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組み付け時に特に注意すべきが、このプラグホールのガスケット。
リップシール形状になっていて、無理やりこじって組み付けることもできてしまう構造です。

ゴムが変に巻き込んでしまっていると、そこからオイルが噴出する可能性があるので注意。

 

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漏れた箇所のパッキンが、確実に嵌合しているか、最終の確認をして、

 

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ネジを締めていきます。

 

ネジ締めの順番は、極力対角になるように回します。

   

上の表のような順番です。極力対角線上に均一に締めていけるよう順番を工夫しました。

もちろん一気に締め込むのではなく、時間はかかるのですが、少しづつトルクをかけて締めていきます。

 

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またネジ締めの前に、ラスペネを少し噴いて滑りを良くしておきました。次回の脱着の際に錆びつきを防止する、まぁおまじない程度になればいいですね。

 

作業完了

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全部のネジをしめて、ホースを元通りに装着し、プラグコードをはめ込んだら完成です。

漏れていた箇所も、しっかりゴムが潰れている様子が確認できました。

 

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反対側のデストリビューター側も結構漏れやすいとのことですが、こちらは今のところ大丈夫そう。

このいわくつきの一応左右側は、気持ち強めにトルクを掛けておきました。

 

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全面のフラット部分も、ゴムがしっかり潰れているようです。

 

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後は色んな所が、結構オイルで汚れてしまったので、ウエスを使って綺麗に拭きあげます。

これをやるだけでエンジンルームがかなり綺麗になりますね。特に洗浄液などは不要で、定期的に拭きあげることをおすすめします。
オイルや冷却水の漏れだったり、部品にクラックが入っていたりなど、清掃の最中にいろんなことがわかったりしてとても実りの多い作業です。

 

もしお金と時間の余裕が有れば、ラバープロテクタントを使うとより良いかと思います。
比較的格安のゴム・樹脂の保護用ケミカルで、一吹きしてきれいなウエスで伸ばしてあげると、ゴムの寿命がぐんと伸びます。

 

まとめ

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やることやったので、しばらく様子見をします。

1~2ヶ月程度はこのまま状態観察ですね。漏れてくれないことを祈ります。

 

 

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今回は以上です。

 

追記

この作業をやったのが2015年ですが、2020年の売却前に、少し同じ箇所からにじみが発生していました。

やはり5年毎くらいには定期的に交換したほうが良い部品かもしれません。

 

 

10 件のコメント

  • 作業お疲れさまです!
    僕も以前に交換しましたが、そのときはプラグホールのシールもボロボロで大変でした。
    結局プラグホールのシールも交換となったのですが、何故か部品が出ないと言われ、ヘッドカバーごと買わされました…(笑)
    プラグホールのシールが劣化状態で試運転してみましたが、すぐにオイルが吹き出してきて大変たったのを覚えています

  • お世話になります。

    自分もシールボロボロを想定していたんですが、意外ときれいで本当に良かったです。
    そう!シール単体で売ってないんですよね!SR系のエンジンだとリストがあったんですが…。なにかこう、ゴム圧入系のブッシュとかこの手のリップシールとかが、ばら売りしてないことが多いですねラシーンって。
    あとの記事でも書きますが、オイルフィラーキャップを開けっ放しでエンジンかけたら、オイルが偉い勢いで飛び散ってびっくりしました。あんなに吹き出るもんかと(苦笑

  • こんにちは、いつも参考にさせていただいています。今回は、ヘッドカバーのガスケット交換にチャレンジしました。なんでもディーラーおまかせの素人な私にとっては、この記事が、背中を押してくれました!すごく参考になりました。あとはオイルにじみが止まってくれることを願ってます。

    • >Yenjoyさん
      コメントありがとうございます。

      最近ラシーンに乗って入るのですが、特段の整備項目などもなく、更新が滞っています。
      参考にしていただいているというコメント頂きましてとても嬉しいです。
      ありがとうございます。

      オイルきっと止まってくれますよ!
      今後ともよろしくお願いします。

  • こんばんは!「春からラシーンオーナー」と名乗り以前コメントさせていただいた者です。
    アンテナ不調やリアタイヤの警告灯などなど何とか自分でメンテしながら乗ってるところですが、myラシーンにもオイル漏れらしき症状がで始めてしまいました。
    最初はエアコンの水かな?って感じのあとが駐車場についてたのですが乾いても黒い跡が残ってて「これはまさか…」という感じです。

    こちらのブログを見て同じ箇所を見ても全然滲んでなくて下を覗くと前の真ん中のジャッキアップポイントの向こう側の出っ張りに黒い滴が。

    これは自力で修理は難しそうなのでディーラーか整備工場にと思ってます。
    ただ近所のディーラーはあんまり信用できない対応で…(日産車でも中古車はどう弄ってるかわからんから…って熱心には見て貰えないことがあって)預けられる整備士さんを探すとこからスタートです( ´•ω•` )
    このブログを参考に出来る事は自分で、できない事はプロにおまかせしながら(笑)できるだけ長く乗りたいです( ・ㅂ・)و ̑̑
    これからも更新楽しみにしてます!

    • >春さん
      コメントありがとうございます。
      しばらく目を離しておりまして、承認できず申し訳ありませんでした。

      オイル漏れは色んな所から出るので、上の方なら対処もしやすいですが、下側でしたらちょっと難易度が高いですよね。。
      クルマ好きの人などを介して、良い整備工場・整備士さんを見つけられると良いですね。

      >このブログを参考に出来る事は自分で、できない事はプロにおまかせしながら(笑)できるだけ長く乗りたいです( ・ㅂ・)و ̑̑
      このコメントにはとても元気をいただきました。
      しばらく放置気味だったのですが、定期的に更新していきたいと思います。

      こちらこそよろしくお願い致します!

  • 夏のオイル漏れのその後をご報告します。
    結果から言うとお付き合いの長い整備士さんにリビルトのディストリビューターを交換をしてもらい、そこからの漏れは止まりました。
    しばらくはオイル漏れも治まっていたのですがまた少し滲んできている様子があり、今度はディーラーさんで見てもらいました。
    (ちなみに以前行ったところではない別のディーラー店へ行きましたら中古車でも丁寧に対応していただけました。)
    クランクシャフトのリヤ側のオイルシールを交換とのことでオイル交換諸々含め約16万円の見積もりが出ました。痛い出費ですが大事に長く乗り続けたいのでお願いすることにします。

    そこで質問なのですが折角エンジンを下ろす重作業をお願いするので、ついでに交換しておいた方がいい部品などご存知でしたら教えていただきたいです。
    例えば年式的にリヤ側のついでにフロント側も交換した方がいいでしょうか?

    • ⇒春さん
      コメントありがとうございます。
      オイル漏れ関係は、新品やリビルトにしたからと言って、すぐ直るわけではないから難しいですよね。
      長く乗って、なおかつ費用を出せるようでしたらお願いした方がいいですね。

      ついでの交換に関する部品ですが、マニュアル車ならクラッチですね。
      あと共通でしたら、オイルパンの液体パッキンとか、下回りのシャシーブラックペイント、それからエンジンマウントも出せるようでしたら交換をおすすめします。
      あとはディーラーさんが勧めてきた項目で、金額的に許容できるものですかね。

      参考になれば幸いです。
      よろしくお願いします。

  • 本日諸々の修理が終了してmyラシーンが帰ってきたので御報告です♪
    教えていただいたエンジンマウント交換の他、ついでにできるゴム類を交換していただき見積もりより4万ほど高くなりましたがお願いしました。
    結果エンジンマウントは固定側は大丈夫でしたが動きがあるマウントが両方亀裂が入っていて交換してもらって良かったです。
    オイル漏れも不安要素をほぼ新品に交換してしまったのでおそらくしばらくはオイルで困ることはないでしょうとお墨付きをいただきました!
    (ディーラー修理なので半年保証もあります)

    何より整備士さんがラシーンをとてもいい車と褒めてくれて入庫の際も「わあ!ラシーンだ!」と歓迎してくれたり「久々にこの車を整備しました」といい仕事ができたという表情で話されていたのが嬉しかったです。
    以前、他のディーラーに修理をお願いしてあんまり印象が良くなかった私でしたが、今回別の店舗へお願いしてみて本当に良かったです。ディーラーへの偏見がなくなりました。MINORUさんの言う通り整備士さん次第だなと。

    気持ちのいい季節に気持ちよくラシーンとお出かけできそうです♡
    色々アドバイスありがとうございます!
    これからもブログ更新楽しみにしています✳✳
    長々と失礼しました。

    • >春さん
      コメントありがとうございます。

      ディーラーさんは、看板は同じですが中の人とか経営方針は店舗によって様々です。
      コレばっかりは文字通りめぐり合わせなので、足使って探すしか無いんですよね。
      いいディーラーさんに巡り会えて、本当によかったです。こちらも嬉しくなりました。

      お散歩にお花見に良い季節になってきましたので、ぜひラシーンで遊びに行ってみてください。
      僕も引っ越しが終わったら、一回整備に出して、その後遊びまわる予定ですw

      これからもよろしくお願いいたします。

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