ラシーンの燃費の改善方法について、
およそ5ヶ月くらいラシーンに乗ってきて分かったこと、感じた事を書きたいと思います。
エコカーが百花繚乱している2015年目線で見ると、ラシーンの燃費はあまりよくないです。
自分のは1500ccのAT。MTだと10~12km/Lくらい出るそうですが、満タン法で計測し、平均してリッター7~8km程度に落ち着いています。
これからエアコンを使うと、もう一段階燃費が落ちるかもしれません。
まぁコレでも1990年代後半くらいまでは、「まあATならそんなもんだね」「ちょっと悪いね」くらいで収まっていたとの話を聞きます。
今なら規制に引っかかって販売できないレベルです。
自分としても、この数値に満足しているわけではありませんので、ラシーンの燃費を改善するために、色々トライしてみました。
そして分かった結果を、今回記事にしてまとめます。
小手先の燃費改善法は無い
はい。
いきなりぶん投げるような発言ですが、どうしてもここにしか至らない。
プラグコードを変えたり(記事)、ワコーズのフューエルワンを入れたり、ハイオクガソリンを入れたり、オイルを交換に添加剤投入など色々しましたが、目立った結果は出ておりません。
ラシーンの燃費を、添加剤や簡易カスタム的な手法で改善させるのは、かなり厳しそうだという事が分かりました。
少しずつ原因を分解してみましょう。
理由①:重い
ラシーンは装備重量で1400kg近くになります。3ナンバーのミニバンクラスの重さです。
これを1500ccで100馬力という非力なエンジンで引っ張ります。単純に重いと走り出しにパワーが必要です。そしてパワーを出すためには、必然的に高回転を使って走る為、ガソリンの噴射量が多くなります。だから燃費が悪くなる、という話です。
まぁある程度重い分車体が安定していて、どっしりと安定した走りが実現できているという面もあるので、一概には悪い面ばかりではないと思いますが。。。
理由②:ATがしょぼい
1500ccの非力なエンジンな上に、80年代後半に基本設計されたプリミティブな4速ATを搭載している事も、燃費が伸びない原因として見逃せません。
エンジンから出た出力をミッションを通して車軸に伝えるわけですが、その変換効率はお世辞にも良くなく、かなりのロスを発生していると思います。摩擦とか、ゴリゴリ感とか、音とか。
その上ATの制御がイモ。
ギアが4つしかなく、コンピューターもさほど賢くありません。今の多段ATやCVTに比べると、走行中たまに最適なギアを選んでくれない事があります。 だらだら加速した時にそれは顕著で、やたら3速を使って走ろうとします。
また時速40kmくらいで「微妙な減速」をしてから再加速する際、まずギアが落ちずにアクセルが抜けるような嫌な感触が発生して、その後すとんとギアが落ちてグワンと過激な加速をする、という事象がたまに発生します。
まぁ変換効率や制御はお世辞にも良くないですが、古く冗長性がある設計なので頑丈です。それはかなりの美点だと捉えています。オイル交換を定期的にトラブルが起こりにくいという面では、長い目で見てコストパフォーマンスに優れているといえます。
(この、長い目で見る、という事はラシーンにとって非常に重要な視点です)
理由③:4WDである
ラシーンはすべての車両が4WDです。
自分の1.5Lはもちろんのこと、後期型の1.8Lや2.0L仕様も、全て四輪駆動車となっています。
おそらく「実用車を極める」というラシーンの開発コンセプトにおいて、実用性という面での走破性を向上させるためには、4WDは必須だったんだと思います。
(これはラシーンを愛する方の必携書である「エンスーカーガイド 日産・ラシーン」にも書かれています。)
結果的に高速安定性などが向上し、急な坂もグイグイ上る独特な走行フィールを持つ車に仕上がりました。
ただ4WDであるということは、プロペラシャフトやリアデフなどの重量構造物がくっつくことに成ります。
必然的に重くなり、燃費という面から見ると、大きなハンデになります。
動力を伝えるタイヤも2本から4本に増えるわけで、回転・摺動する部分が増加。それにより発生する摩擦とか摺動抵抗も増えるわけで、パワーロスも結果的にデカイ。燃費は悪くなりますね。
この「4WD設定」は開発者の意地というかこだわりに近いものです。
2015年現在の、色々と余裕というか余白が無くなってきた状況では、企画段階でゼッタイ潰されるだろうなという仕様です。まぁそういう提案ができて、企画会議を通ったというのが、90年台の面白いところなんですが。
燃費を上げる対策
上記に列記したように、ラシーンが置かれた状況は相当厳しいです。
ラシーンの燃費を向上させる方法としては、薬剤などに頼ったテクニックよりも、もっとプリミティブな手法以外残されていないようでした。
1)一気に加速する
一部のハイブリッドカーを除き、自動車は基本的に発進の際に最もエネルギーを使います。
ここのエネルギーを省力するためには、加速状態を一気に終わらせて、一刻も早く4速で巡航モードにする必要があります。
だらだら加速すると前述のとおり3速で走りっぱなしになるので、出だしは少しアクセルを強めに踏み込んで、40~50km/hくらいまで加速します。
交通の流れがもう少し早ければ、そこまで一気に加速する。そしてアクセルを一瞬ぽんと離します。
そうすることで、今から巡航モードに入りますよ~、という指示をラシーンに伝えることができ、ほぼ間違いなく4速に入ります。
あとは
- できるだけアクセルを一定に保ち、
- エンジンの回転数を一定にしながら巡航。
これが一番燃費の良い走り方です。
2)止まらない
渋滞路が続くと燃費が悪化するのは、エンジンが最も効率的に力を発揮できる「巡航モード」に入れないためです。
加速と減速を繰り返すため、必然的にエネルギーの消費量が多くなります。
「できるだけ渋滞しない道を選ぶ」という事も、燃費向上には非常に大事な要素です。止まらずに走り続けると、ラシーンの平均燃費はぐんぐん伸びます。
例えば、10分早く会社に行ってみるとか、農道を走ってみるとか、高速道路を使ってみるとか。
特に最後の高速道路は馬鹿にできなくて、私のラシーンは高速道路では最大で13km/Lくらいの燃費がでます。下道だと8km/l位。
今100km高速道路走ると、だいたいETC割引使って2000円位でしょうか。
下道を使って100km走った場合と、高速を使った場合での価格差を比較してみましょう。
走行距離 | 100km | |
高速料金 | 2000円 | |
ガソリン消費量 | 8km/l時 | 12.5l |
13km/l時 | 7.6l | |
ガソリン代(レギュラー130円/l) | 8km/l時 | 1625円 |
13km/l時 |
988円 |
|
下道で100km走るときのコスト |
1625円 |
|
高速料金で100km走るときのコスト | 2988円 |
高速料金だけでなく燃費も含めて換算すると、2000円の高速料金に対し、実質+1500円で100kmを走れるんですね。
考え方によりますが、燃費分で500円キャッシュバックが来るようなイメージです。
加えて早く移動できて時間短縮にもなるし、一定速度で走れるから疲れにくいです。燃費が悪い車を乗る場合は、高速道路を走っても燃費で高速代が実質的にキャッシュバックされることもあるので、頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。
3)無駄なものを載せない
ただでさえ車重が重く、ローパワーなラシーン。
一度調査の名目で、ガソリンを満タンにしてから、
- 燃料計が半分になった状態で再給油して燃費を測った場合
- すっからかんになってから再給油した場合
この2つを比較したことが有りました。
そしたら、後者のすっからかんから再給油のほうが、燃費が1.5km/lくらい伸びたんです。
粘り勝ち。なので、余計な荷物・重量物を載せたまま走るということは、ラシーンに取って燃費悪化の重要なファクターの一つであると言えます。
常備するのは車載工具くらいにしておいて、余計なものは荷室から取り除いておきましょう。
4)空気圧をしっかりチェックする
意外とタイヤの空気は抜けるもんです。空気圧の低下は燃費に直結するので、マメにチェックしましょう。
自分のラシーンの規定空気圧は以下のとおりです。
タイヤサイズ | 前輪 | 後輪 |
165SR13 |
2.3kg/cm3 230kPaG |
2.3kg/cm3 230kPaG |
185/65R14 86S |
2.0kg/cm3 200kPaG |
2.0kg/cm3 200kPaG |
185/65R14 86H |
2.0kg/cm3 200kPaG |
2.0kg/cm3 200kPaG |
応急用タイヤ T135/70 D15 |
4.2kg/cm3 420kPaG |
4.2kg/cm3 420kPaG |
スペシャルモデルなどは、195/55R15のタイヤが標準装備されているようです。これも、基本的に2.0kg/cm3を印加しておけば大丈夫だと思います。
2018/4/5追記:
エコタイヤを使うと、燃費が2km/L程度改善しました。(参考記事)
本記事に書いている事を実践しつつ、エコタイヤに交換することで、AT車でも街乗りリッター10kmを達成することも夢ではありません。
タイヤと地面の接触面積が小さくなるので、更に燃費改善効果が見込めます。
5)ガソリンはレギュラーでOK
ハイオクを使ったからといって、トルクが体感的に増すわけでもなく、燃費も対して変わりませんでした。
なので、ガソリンはレギュラーで十分かと思います。
…スイフトは露骨に体感できるくらいトルクがUPするんですけどね。多分これはエンジンの仕様です。1.2Lのエンジンが欧州仕様と同じだから、向こうのレギュラーが日本のハイオクに相当するとか何とか。だからハイオク入れたほうが本来のパワーが出て何とか。
6)エンジンオイルは純正指定以上のグレードで
エンジンオイルを柔らかくすると燃費が上がる、という事をまことしやかにいう人がいますが、半分正解。
摺動抵抗とか、撹拌時のフリクションロスがなくなるため、多少燃費が上がるかと思います。
ですが、ラシーンのエンジンがほしがる油膜を維持できなくなる可能性があり、長く乗り続けるとエンジンの故障につながります。
純正指定の5W-30以上の粘度のオイルを使いましょう。
最近の車用の超柔らかオイル0W-15何かを入れた日には、おそらく異音が出る事になると思います。
古い車は、柔らかオイルに対応できるように設計されていません。
正直、オイルの粘度を下げて得られる燃費の改善代、なんてたかが知れていると思うんです。
エンジンぶっ壊れた時の金銭的ダメージのほうがはるかに大きい。だったら、良いオイル使ったほうがトータルで見たら経済的だと思います。
↑お勧めオイルです。少々値段張りますが、エンジンの回転がスムーズになりました。低回転からも、アクセルオンで軽快に吹け上がるエンジンに変貌します。
まとめ
以上色々述べましたが、自分が5ヶ月間で見つけたラシーンの燃費向上方法は上記のとおりです。
結局のところ、日々の地道な運転の積み重ねが、ラシーンの燃費向上につながります。
まぁ元々も燃費が悪いので、ちょっと意識するだけで1~2km/l位は平気で変わると思います。
そういう車です。
あとお金をある程度かけていいのであれば、エコタイヤにするとか軽量ホイールにするとか、この辺の対策も効果がありそうです。
まだタイヤの山があるので、タイヤが減ったらやってみたいですね。
以上です。
100円ショップの磁石を買って、燃料系周りにはっつけて ・・・ って言う、怪しいのがあるらしいです(笑)
>MSRさん
コメントありがとうございます。
ありましたね。トルマリンなんたらとかマグネットなにがしとか。燃料タンクに入れる謎の石とか。
最近はエアクリーナーボックスに貼るステッカーなんてのも有りましたよ。
磁石は結構危険ですね。ラシーンくらいだったらまだしも、最近の車の中に磁界を発生させるものなんか持ち込んだら、ご動作を誘発しそうです。すぐには何も起こらないかもしれませんが、耐久性がいちぢるしく悪化するかもしれません。
燃費に関する記事、大変興味深く読ませて頂きました!記事にあるアクセルワークも実践しています。月1ペースで燃費計算してますが、今回はちょっとだけ良かったです。ゆっくり加速だとなかなか4速に行ってくれず、3速での引っ張ってるなーと感じていましたので、私自身のアクセルワークの修正ができて良かったです!
コメントありがとうございます。
実際にラシーンに乗られている方に評価いただいて、
この記事書いて良かったと思いました。
ラシーンの4ATは、1500ccに限っていえば3速が相当ワイドレンジなので、
だらだら加速すると本当に4速に入りません。
またガソリンが少し値上がり傾向なので、ドライバーの技量で、エコドライブをしたいですね。