前回の記事では、ドアとシートについてまとめましたが、今回の記事ではインパネと操作系に触れたいと思います。
真四角な箱が並んだような内装です。
ラシーンを買うときに参考文献として購入した、エンスーカーガイドのラシーン本に
「例えば目の前に真四角の箱を2つ並べたとするじゃないですか。するとね、四角いからこそ、きっちりと並べないと、角度の不揃いがすぐに分かってしまうんです。」
「一つがずれると全部がずれてしまう。インパネの立て付けがずれた車なんか運転して気持ち悪いじゃないですか」…エンスーCARガイド 日産ラシーン P89
という、製造担当された高田工業さんのコメントが掲載されていました。
確かに15年も経過しているのに、縦横のラインが整列されていて、非常にビシッとしています。
こういう細かい部分って、違和感という形で一瞬で感じ取れる場合が多いです。細かく気を配られていた人が作っていたというのが、ラシーンという車が持つ人気の、ひとつの下地になっているのではないかと感じています。
●ハンドル
ハンドルは細身で比較的大きめ。
最近はエントリークラスのコンパクトカーでも革巻きのステアリングなどが主流になっていますが、樹脂の無垢。大きめのハンドルで、最低限のパワステアシストを受けながら、グイグイ回して操作します。
今の車の超軽がるとした電動パワステとは異なり、操作感があって楽しいです。
●オーディオとエアコン
オーディオは1DINです。ケンウッド製のカセットデッキが付いています。
カセットですが、前のオーナーさんが残していったものと思われる、1960年代の洋楽ポップス集が入っていました。リッキー・ネルソンのハロー・メリー・ルーとか。何回か聴きましたが、激渋です。きらいじゃないけど(笑)
で、久しぶりに車でラジオを聴きました。すると面白いことが起こって、
このようにアンテナがみょーんと伸びます。オートアンテナ、電動アンテナ。結構高くまで伸びるんです。
最近の車では、空力とかを意識してアンテナはとにかく小さくなる傾向にあります。いるかのヒレのような形をしたアンテナが、低価格帯の車両にも取り付けられてるようになりました。
これも90年代を象徴する、愛すべきギミックの一つだと思っています。
エアコン装備です。風量は4段階のマニュアルエアコンです。
まだ冬場しか使っていないのですが、暖房は結構しっかり効き、エンジンを掛けてから10分以内には十分暖かくなります。いつもLEVEL2くらいで使っています。試しに冷房を入れたらいい感じに冷えました。
当時はオプションでオートエアコンが有ったようですが、中古車市場ではほとんど出回っていません。10台に1台あるかないか。どうやら高価なオプションだったようです。
ちなみに今の車は、燃費を少しでも稼ぐために「超鋭敏なオートエアコン」が最低グレードでも標準装備される時代に成りました。強力に冷暖房し、適温になったと判断したら、すぐにエアコンを切りにかかる、できるやつです。まぁ、ラシーンに関しては、マニュアルでも十分事足りていますね。
ちなみにエアコンのダクトは、インパネ中央に2個ありまして、
その他には、一段低くなったところの左右中央に1個づつ配置されています。
後は足元ですね。
このへんの作りは現代の車にも通じる、変わらないものが有ります。
●灰皿とドリンクホルダー
灰皿とドリンクホルダーが、オーディオの下にセットされています。
実はこれ、1DIN×2の分割構造になっていて、それぞれ取り外すことが出来るんです。ラシーンって1DIN×3のアタッチメント許容スペースを持っています。
自分はこれも驚きでした。各種カスタマイズパーツの設置自由度が非常に高いです。
やろうと思ったら、上の写真のような感じでごっそり改造することができます。
シガーソケット
下段に付いている灰皿。一度も使われていないようで、大変綺麗です。
今はそもそも標準装備パーツからは外れていて、オプション扱いになっていることも多いこの灰皿。自分のスイフトには付いていません。今や時代を感じさせるパーツとなってしまいます。
その横には、一体型ユニットとしてシガーライターが付いています。自分はタバコ吸いませんし、USBシガーソケットなどを使って、電気を取り出す用途にしか使わないと思います。
それから言い忘れていたんですが、エアコンの横にシガーソケットがあります。
DC12Vと書かれたダミーキャップが刺さっていて、ここからも電源を取ることが可能です。
なぜ2個もつけたのかが気になりますが、2015年現在のスマホやタブレット全盛のご時世では、充電できる装備がたくさんあるということは大変な美点です。
ある意味非常に先見の明が有ったのではないか?と考えてしまいますね。
しかし、12Vを取るアクセサリーパーツって、2000年以前にもそれなりの数があったのかな?携帯充電器とか?
ドリンクホルダー
一段上の1DINケースには、2段式の収納が付いています。
下段はドリンクホルダー、上段が小物入れです。小物入れはティッシュとかガソリンのレシートとかをちょっと入れられてとても便利。
ただ時代を感じさせる難点が1個ありまして、ドリンクホルダーの穴サイズが左右で違うんです。右の方は、350mlのジュースから、500mlペットボトルも置ける一般的なサイズですが、
左のほうがこういう細身の缶コーヒーしか置けません。頑張ってはいるんだけど、微妙につぶしが効かない。。
こういうAmazonで売ってるような、こういう1DIN収納と全く同じものです。
ただ設計当時は強度的な問題が有ったのか、いまいち不便な仕様で発売されてしまっています。
ただ、色味合わせやスライド機構の頑丈さなどは、当然純正品なので素晴らしく、これに変わるものが今のところ見つかりません。不満は残るものの、ひとまずはこのままキープしておこうと思います。
ドリンクホルダーは、前席分はこの2個だけです。
↓さすがに不足していたので、こちらでドリンクホルダーを増設しました。
●スイッチ類
ハンドル周りのスイッチ類です。
まず左側。
上下でワイパーを作動。間欠、低速、高速の3段階。
間欠は一番左のつまみを調整するとなんとなーく速度が変わる気がする、アナログタイプです。クリック感が無いので何段階かは不明。
自分は手動でワイパーを動かすくせがあるので、あまり間欠機能は使っていません。
あとリアワイパーが付いているので、真ん中のツマミを回して操作します。水噴射、間欠作動、連続作動の3段階です。
最近の車ってリアワイパーがないものが多いのですが、不便じゃないのかなぁってつくづく思います。自分バンバンとワイパーを使うので、今度車買う時も欲しいなぁって思っているんですが…。
左側のウインカーとかライトを操作する燈火器系。
フォグランプが付いているグレードだと、ここにフォグランプ点灯用つまみが付くみたいです。自分のラシーンはフォグなしなので、ヘッドライトの操作のみ。
日産トラップが仕掛けてある鍵
鍵穴はこんな感じ。
特徴的なのは、左下にボタンが付いていて、鍵を外す時はこのボタンを押さないと抜けなくなっていること。むか~しお母さんが乗っていた2代目マーチがこの機構を採用していた気がします。最初使い方がわからなくて戸惑いました。鍵が抜けねぇ!
あと時々、シフトセレクターをリバースに入れたままエンジンを切る時があります。
すると、この鍵抜きボタンはパーキングに入っていないと押せない機構になっているため、ボタンが押せずに焦ることに成ります。鍵が抜けねぇ!
シフトレバー
これがそのシフトレバー。4速ATをこのレバーで操作します。
まっすぐに押し引きする極めてオーソドックスなタイプで、一時期流行した右に左に蛇行するようなシフトではありません。ぶっちゃけこの真っ直ぐなタイプが使いやすいです。
個人的には、1速と2速が使えるのが嬉しいです。2はよく見かけるのですが、1があるのがすごい。
一応4WDなので、悪路走行を多少想定した作りになっているのでしょうか?
で、3速はどうなの?って思われると思うのですが、大きなボタンの下に小さなボタンが付いていて、これがオーバードライブOFFボタン。これを押すと最大ギアが3速になります。4速巡航していて、さらに加速をしたい!と思った時にこのボタンを押すと、3速に落ちるのでターボ気分を味わえます。
ATですが、任意のギアを設定できるのは嬉しい事です。
後ろにはシフトロック解除レバーが有ります。
上に引っ張ると、エンジンを掛けてブレーキを踏んでいる状態でしか動かないシフトレバーが、いつでも動かせるようになります。
車がパーキングに入った状態で故障して、シフトが動かなくなった場合に使います。Nに入れて車を押したり引っ張るのですね。
あとはちょっとだけ車動かしたいけど、エンジンをかけるのがめんどくさい時。Nに入れて車を押します。
運転席の右端には、小銭いれ、電動ミラーの格納&角度変更レバーがあります。
これも現代に通じる機構です。
ワーニングランプが面白い
右上にはワーニングランプ類が3×4の12個並んでいます。
普通の車は、メーターの中に散りばめられているのですが、ラシーンは右のパネルにまとめれています。最初はドウなんだろう?ッて思ったんですが、かなり見やすいです。面白い。
そして記事を書いていて気付いたんですが、これも四角形ですね。アイコンが全部四角。こういう人間の視覚に入るインターフェース部分は、徹底してデザインにこだわっているなあと感じます。
イグニッションをONした段階で、これだけのランプが付きます。右下の3つは絶対についてほしくないランプですね。。
●まとめ
前回の記事と合わせてつらつらと述べてきました。
ラシーンの基本的にスイッチ機構などユーザーの手に触れる部分は、非常にオーソドックスな作りになっています。突飛な部分はありません。実用車的な、基本に実直な作りです。
殺風景になりがちな所を、配置や機構で機能性をもたせ、カラーリングの妙であたたかみをもたせている非常に優れたデザインだと感じました。
ラシーンのデザインを見ていて、奇をてらった装飾をしなくても、ひとつの軸を走らせてブレないようなデザインをしていけば、それ自体がとても面白い香りを放つんだなぁと思いました。
これからカスタムを進めていくかもしれませんが、デザイナーさんのこだわりをできるだけ感じ取り、出来ることならばこのテイストを崩さないように手を加えていきたいとおもいます。
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